ハーバード流 自己変革の理論と実践

読んで欲しい人

読んで得られること


スクラムに関係する本ではないのですが…スクラム研修の多くの受講者は、「とても良く理解できました。しかし私の周囲や組織は、当面変わらないと思います」という感想を残します。「人を変容させる方法」はそれだけで数日の研修をすべき深いテーマです。スクラム研修では、スクラムの起源や目的、効能、方法などを伝えるのに時間を割いていますので説明しきれません。ですのでこの本をよくよくおすすめしています。

前著「あの人はなぜウンと言わないのか」にて、人間の心理的な免疫機能を解き明かしていますが、本書では「具体的な改善方法」まで多くの研究結果に基づきまとめられています。ですので前著はかっ飛ばして本書だけ読んで問題ないです。

ダイエットを志しても…多くの人が失敗もしくはリバウンドします。心臓病の患者の7人中6人は医者の言う生活改善を実行しないそうです。もちろん彼らは死んでも良いと思っているわけではありません。

MBO(目標管理)による評価精度で…毎年(もしくは半期に)一度、上司と熱い面談をして目標を定義したり…会社の合宿(的な集中会議)で今後の自分たちについて語り合い目標を打ち立てたりしてたりしたのに、一年後何も変わっていない…なんて経験がある人も多いかと思います。

本書で語られている

これらの考え方は、スクラムチームおよび組織を成長させる観点として、とても役立ちます。この「強力な固定概念」が「ウォーターフォールなやり方は多くの場合正しいはず」となっているケース…よくありますよね。

免疫マップを描いていく考え方は、制約理論の思考プロセスに通じるものがあります。ザ・ゴール2も合わせて読むと、理解が深まりそうです。

またスクラムに関する本ではないものの、事例で紹介される「変容」は…

といったスクラムに関わる課題の解決に有効は話がたくさん出てきます。

本書の前半で「この改善手法は個人ワークであり、人を変えられる訳ではない」と思うかと思います。しかし全部読み終わった頃には「もっとも有効は自己研鑽は、チーム全員で取り組むことであり、結果的に組織を変える力になる」ということが理解できると思います。すごいサッカー戦術本を読んだらすぐに試合に勝てるようになる訳ではありません。本書を参考に、人の変容には時間がかかるということを理解して、さまざまな取組に活かしていっていただければと思います。

私がよくアジャイルコーチとして実施するワーキングアグリーメントのエクササイズは、本書の内容にはほど通りライトなものですが…最初の一歩としては有効だと思いますので、そちらも参考にしていただけると幸いです。

本書はオーディオブックで聞くのもオススメです。